LEDビジョン(大型ビジョン)の基礎知識
1. はじめに
Windowsデスクトップの一部が表示されています。
しかし、パソコンモニターとは用途と金額が大きく異なるため、解像度、視認距離、画面サイズなどを、費用対効果を考慮しながら決定していく必要があります。
2. LEDビジョン(大型ビジョン)のピクセルについて
下写真のように、コンピュータの画像は全てピクセルの集合によって表現されています。
LEDビジョンの1ピクセルは、RGBのLED球の集合で構成されています。
※RGB・・・レッド、グリーン、ブルーのこと。
左は砲弾型LED、右はSMD型LEDです。SMD型LEDでは、チップ1つの中にRGBの発光素子がセットされています。
3. LEDを使用している理由
LED(発光ダイオード)
LEDとは、電圧を加えることで発光する半導体素子です。LEDビジョンは、ピクセル自体が発光するためバックライト方式のモニターやTVとは、発光原理が異なります。
4. 解像度について
テレビやモニターでは、
フルHD ・・・ (W)1,920 × (H)1,080 ピクセル
4K ・・・ (W)3,840 × (H)2,160 ピクセル
といった規格が現在代表的な解像度です。
5. ピクセルピッチについて
ピクセルピッチとは、「隣接ピクセル間の距離」の事です。ピクセルピッチが小さいほど、面積あたりの解像度が高くなります。
ピクセルピッチ【小】
メリット
ピクセルピッチ大と比較すると、近距離でも視認可能
面積あたりのピクセル数が多いため、同一面積であればこちらの方が解像度が高い。
デメリット
ピクセルピッチ大と比較すると、面積あたりの金額が高い。
ピクセルピッチ【大】
メリット
ピクセルピッチ小より面積あたりの金額が安い。
デメリット
ある程度の距離がなければ映像を視認できない。
面積あたりの解像度が低い。
同一面積であれば、ピクセルピッチが小さいほど映像はきれいですが、LEDビジョンとターゲットとなる場所までの距離によってはオーバースペックになることがあります。弊社では、設置場所とご予算から、最適なピクセルピッチをご提案致しています。
6. ピクセルピッチ別解像度比較
3.9mmピッチ
解像度 : (W)512 × (H)256 = 131,072 pixel
5.8mmピッチ
解像度 : (W)336 × (H)168 = 56,448 pixel
7.8mmピッチ
解像度 : (W)256 × (H)128 = 32,768 pixel
10mmピッチ
解像度 : (W)200 × (H)100 = 20,000 pixel
ピッチの大きさに比例して、画質が粗くなり、文字が見にくくなってきます。
10mmピッチに関しては、最下段の文字がつぶれていますが、これは(W)2,000 mm × (H)1,000 mmという大きさのLEDビジョンで、10mmピッチを選択すると、20,000pixelまでしか表現出来ないためです。
例えば、(W)5,000 mm × (H)3,000mmのLEDビジョンで10mmピッチを選択した場合、解像度は(W)500 × (H)300 = 150,000pixelとなり、上写真3.9mmピッチよりも鮮明な画質となります。
画質の鮮明さは、pixel数の合計値に比例します。
漢字は文字がつぶれやすいため、他社広告を募集して運用される方は「画面サイズ」と「ピクセルピッチ」の選定が最も重要な項目となります。
7. LEDビジョンの解像度
現在の主流解像度は、Full-HD(1,920 pixel × 1,080 pixel)ですが、LEDビジョンでこの解像度を実現するためには、莫大なコストが必要なため費用対効果の視点ではオーバースペックになりがちです。
下2つのLEDビジョンは、Full-HDではありませんが、TVCMの放映を行っても、解像度の不足は見られません。但し、あまりに小さな文字はつぶれてしまいます。
※写真クリックで拡大
画面サイズ
(W)8,320 mm × (H)4,800 mm (16mmピッチ)
解像度
(W)520 pixel × (H)300 pixel = 156,000 pixel
画面サイズ
(W)6,400 mm × (H)3,840 mm (26.7mmピッチ)
解像度
(W)240 pixel × (H)144 pixel = 34,560 pixel
8. ピクセルピッチと視認距離
下記は、同一の写真を拡大縮小したものですが、左の写真は目が粗く全体像を捉えにくいのに対し、右は縮小している分、目の粗さが目立ちにくくなり、比較的全体像を捉えやすくなっています。
※クリックで拡大
LEDビジョンのピクセルピッチも同じ理由で、大きなピッチは至近距離では目が粗く画像を捉えにくいですが、距離をおいてみると目の粗さが目立たなくなり、TVやパソコンで見る画像と変わらない画質になります。
ピクセルピッチごとの適正視認距離には、以下の目安があります。
適正視認距離 = 「ピクセルピッチ × 1.16m」以上の距離
※この計算式では、ピクセルピッチをメートル換算する必要はありません。
※LEDビジョン設置場所~ターゲット地点(見せたい場所)までの距離が、
適正視認距離になることが望ましいです。
例えばピクセルピッチが10mmの場合は
10mmピッチ × 1.16m = 11.6m
となり、あくまで目安ですが11.6m以上の距離であれば、目の粗さが目立ちにくいということになります。
9. まとめ
解像度が高い程、LEDビジョンの画質は良くなるが、使用するLEDが多くなるため、高額になる。
LEDビジョン設置場所 ~ ターゲット地点(見せたい場所)までの距離が、適正視認距離になる事が望ましい。
適正視認距離 = 「ピクセルピッチ × 1.16m」以上の距離
ピクセルピッチが小さい方が、距離を選ばず綺麗に見えるが、面積あたりの金額が大きくなるため、適正視認距離を考慮し、ピクセルピッチを選定する方がコストパフォーマンスが高くなる場合が多い。
※但し、最低限希望する解像度は確保する必要がある。
適正視認距離に問題がなければ、小さなピクセルピッチを選択するより、大きなピクセルピッチを選択して同一解像度にする方が、画面サイズが大きくなる分視認効果が高くなる。